The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
振り返ったレイに、ザックは更に続ける。
「下りるなら、B6まで下りろ。
俺と……、
初めて会ったところにあるもんを持ってこい。」
「……必要な、ものなの?」
「……ああ。」
「…それは、何?」
「……行きゃあわかる。」
「……わかった。」
怠いのか、
"それ"が何なのかを言わないザックに
文句1つ言わず、レイは1つ頷いてそう返答した。
レイが、吸い込まれるようにして
エレベーターに乗り込んでいく。
それを見送ってから、
私は再びふっと…瞼を下ろした。
……怠い。
……とてつもなく、怠い……。
身体が、動きたくないと訴えているようだった。
少しでも気を抜くと、
永遠に覚めない眠りについてしまいそうで……
真っ暗な場所に1人……
取り残されてしまいそうで……
私は怖かった……。
そんな風に震える私の耳に、
ザックの声が届いた。
「…………悠。
少しだけで良いから、起きてろ。
話さなくて、良いから……。」
私はザックに抱き寄せられた。
私は大人しくされるがままになって、
ザックの腕の中に閉じ込められておいてあげた。
……どうせ、
今は抵抗する力も残ってない。
ボーッとする頭で、
ザックの声に耳を傾けた。