The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
……私は、
私の背後に立っている"彼"に
そっと訊ねた。
「……セバスチャンは、
悠の……何……?」
「私、ですか……?」
彼は意外そうな表情をしたあと、
ふっと薄く笑った。
「……私は、
お嬢様の忠実な執事ですよ……____」
彼のそんな言葉を聞いた直後。
それを見計らったかのように、
鏡の上方に、再び別の白い文字が浮かび上がった。
=____君は無知なる者か?=
=それとも、己を偽っているのか?=
=ここは懺悔の間である。=
=ここから出たければ、=
=己の破片を手にし……=
=己を知れ……____‼=
独りでに書かれていく白い文字は、
そこでピタリと止まった。
……すると、その途端……____
ービシッ……ー
ーメキッ……ー
ーピシピシッ……ー
ー……バリンッ‼‼ー
鏡は大きな音を立ててひび割れ、
まるで、向こう側から叩き割られてしまったかのように……
こちら側に向かって砕けて、飛び散った……。