The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
出口のない部屋で、
たった2人……。
何か手がかりがないか……と、
彷徨うように辺りをくまなく調べる。
……私は、
壁際に高級そうな、赤いベロア生地の張られた
1人掛け用の椅子がポツン…と
一脚だけ置かれてあるのを見つけた。
その異様な雰囲気を醸し出す椅子の、腰掛け部分に……
透明なガラスの小瓶が転がっていた。
……薬…?
私は駆け寄って小瓶を手に取るも、
それは空だった。
少し期待感があっただけ、かなり気落ちしたが、
その小瓶を鞄にしまった。
……何かに、使えるかもしれない。
それからセバスチャンのところへ戻ると、
彼はアンティーク調の壁面を
じっと見つめていた。
「……セバスチャン?」
「…………ああ。
申し訳ありません。
少々、摩訶不思議な事が起こりまして、
考え事をしておりました……。
何か、ご用ですか?」
「……いいえ、特には。」
私はセバスチャンの問いに、
ゆっくりと首を左右に振ってそう答える。
再び壁に戻って、彼の視線を辿る。
……するとそこには、
白いチョークで書かれたような文字があった。