The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
「……レイ様。」
そんな私を、セバスチャンが呼び止めた。
「……何?
早く、進まないと……。」
「……非常に、言い難いのですが……。
扉が、消えました……。」
「……え?」
驚愕の言葉とは裏腹に、
淡々とした口調のその声に、
私は思わず振り返った。
「……戻れ、ないの…?」
「……少々手間取るでしょうが…、
他を探してみるしか、策はないようですね。」
セバスチャンのそんな言葉に、
私は不安になって眉根を寄せた。
「……とりあえず、先を急ぎましょう。
早く薬を見つけませんと……、
あまり、長い時間を要していると…
お嬢様の命に関わりますので……。」
セバスチャンを見上げると、
彼の普段は涼しげな顔も、
今回ばかりは険しく曇っていた……。