The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
「……‼」
《__……どうしたんだ、レイ…。
……早く来なさい。》
暗闇で、ぼんやりとしていたものが、
徐々にはっきりと形を持って、
見えるようになってきた。
……なん、で……?
そこには、
いるはずのない両親が居た。
2人は、寄り添って……
まるで縫い合わされてしまったかのように、
固く、手を繋ぎあっている。
……そして、
空いていた方の手で、私を手招くのだ。
《__……レイ?どうしたの?
はやくいらっしゃい?》
……違う。
私は心の中でそう叫んだ。
これは、私の本当の家族じゃない……。
だって…、本当の家族は、
こんな風に優しく私を呼んだりはしない……。
……そう思った瞬間…、
部屋にはパッと明かりが灯った。
少し眩んでしまった目で、辺りを見回すも、
もうそこには、手招きをする両親はいなかった……。
……夢…………?
重症の悠とザックの為に、
薬を探して、
一刻も早く戻らなければいけないのに……。
……早く、探さないと……。
そんなことを思って、
私は顔をしかめる。