The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
「……とても、
妙な気分ですね……。
私が、懺悔室に……教会にいるだなんて……。
とても異様で、滑稽で……。
笑いが込み上げてきます。」
セバスチャンは、私の隣に並んで、
さも可笑しそうに、笑って言った。
……何が、そんなに可笑しいのだろうか…。
……ああ、そうだ。
セバスチャンは本来、
懺悔室に入る必要のない人だからだ……。
……そっか。
そう、だよね……。
私は、小さく息を吐いた。
扉を押し開けて奥へと進むと、
さっきより、より強い…甘い匂いが鼻をつく。
クラクラする……。
内装が、全く"懺悔室"で無かったその空間に、
霧がかかったような、ぼんやりとした輪郭が浮かび上がってくる。
その"何か"は、だんだんとはっきりしてきて、
辺りの明かりが消えてしまった……。
《……__レイ、こっちにいらっしゃい。》
ボーッとする、頭の何処かで、
優しい母の声を聞いた気がする。
……何処から、
聞こえてくるんだろう……。
私は、暗闇の中でキョロキョロと
落ち着きがないように辺りを見回した。