The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
ー __神が望むのは、穢れもなく 偽りもない者 ー
ー 己に問え、己が何者か ー
ー 望まれるべき生贄か それとも天使か ー
ー はたまたそれ以外の、神の救いを求める者ならば ー
ー 全てを晒し、懺悔せよ…… ー
「……これは、一体……?」
セバスチャンが文章を読んで、
自身の顎に手を当てて、
考え込むような素振りを見せる。
「……どうやら、
向かって右側のこちらの扉は、"懺悔室"……
の、ようですね。」
「……そう、みたい。」
……神の、救い…………。
私は、それを受けることの出来る人間なのだろうか……。
私は再び扉に歩み寄った。
開かない扉の前で少しだけ立ち往生する。
……よく見ると、
扉には薄く……
ー 汝の名は? ー
と、彫られてある。
年月を重ねて、浅くなったように見えるその字体は、
何処かで見覚えがあった……。
「……レイ様?
どうかさないましたか…?」
「……何でもない。」
不思議そうに私の背後から訊ねてきた
セバスチャンの声に、短くそう答えて、
私は小さく呼吸をして、息を整えた。
「……レイチェル=ガードナー…。」
ーカチャリ……ー
扉は、小さな音を立てて開かれた。
……良かった。
私の名前でも開いたみたい…。
……そっか。
ここは"懺悔室"だものね……。
懺悔室は、神様に向かい、
罪を懺悔する気持ちがあるのなら、
過去に、どんなに悪魔のような行いをした
人間であっても、入ることが許される部屋だ。
……だったら、
開かない理由なんて無かった……。