The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第14章 Floor B2 ー地下2階ー
ドアを開けると、
そこには長い長い廊下が続いていた。
奥に進むに連れて、
甘い匂いが強くなって……
気分が悪い。
「……レイ様。
大丈夫ですか…?」
「……うん。大丈夫。
私よりも、きっと悠やザックの方が、
辛いだろうから……。」
私がそう答えると、セバスチャンは軽く微笑んだ。
「主人を心配していただき、
痛み入ります。
……ですが、レイ様もあまり無理をなさらないでくださいね。
我が主人も、それを望まないでしょうから……。」
「……わかった。」
歩きながらその会話を続けていると、
目の前には大きな2つの扉が並んでいる。
「……これは…。」
「こちらの扉は開かないようです。」
向かって左側の扉を開けようとしたセバスチャンが、
静かにそう言う。
右側の扉は……____
"懺悔室"
と、書かれてあった。
ドアノブをひねるも、
その扉は開きそうにない。
「レイ様、
これをご覧ください……。」
セバスチャンが、部屋の中央に備えつけられていた
分厚くて古めかしい本の、黄ばんだページをめくって、
あるページで手を止めて、私を見た。
私はセバスチャンに駆け寄って、
そのページをそっと覗き込んだ。