The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第12章 Master and servant ー主従ー
「……銃殺刑…。」
思い出したようにレイが小さく呟く。
「そうよ。
ほら見て、たくさんの銃口があなた達を取り囲んでいるわ。
……これ全部、ボタン1つで弾が撃ち込まれるのよ。
素敵でしょう……?」
左右の壁からは、いくつもの大きな銃口が飛び出ている。
四方八方から、3人を取り囲むようにして現れたそれらは、
入り口にあったあの銃口よりも、
ずっと多かった。
……あんなの、避けきれる数じゃ…。
……どうする。
……考えろ。
考えるんだ……‼
どうするべきか……‼
私は涙を流しながら、必死に考えた。
その間も、女性は上機嫌に話し続ける。
「あぁ、それよりも……。
さっきのあなた達の仲間割れ……
とーっても愉快だったわっ‼
特にザック‼
あなたは模範的で私の理想の罪人ね‼
足掻いたところで、結局は衝動が抑えきれないところなんて、
本当に素敵……‼」
うっとりとした様子でザックに語りかける女性は、
嬉しそうに笑った。
「……うる、せぇ……‼」
ザックは足を引きずるようにして起き上がって、
女性を睨みつけながらそう叫んだ。
痛々しいその様子を、見ていられなかった……。