The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第12章 Master and servant ー主従ー
ーバンッ‼ー
「……え。
悠……!?」
そこへ、勢いよくレイが飛び込んできた。
『……レ、イ……?
ど、して……。』
途切れ途切れになる息を辛うじて堪えて、
私は言った。
……と、そこへ…、
ーバンッ‼ー
「ヒャハハハハハ……‼」
あの、"殺人鬼"の時のザックの高笑いが聞こえた……。
……どうして。
どうしてザックが、レイを殺そうとしているの……?
振り向いたレイに、
ザックは静かに鎌を突きつけた。
……レイ、レイが……。
このままでは、殺されてしまう……‼
させないって、約束したのに……っ‼
ー____バンッ‼ー
グッと瞼を閉じたその時、
不意に、心臓が飛び跳ねるかのような……
大きくも乾いた銃声が聞こえた。
嫌な予感がして、ザワザワと心が騒ぐ。
そっと瞼を押し上げる……。
そこには、項垂れるように俯き、
床に膝をつくザックがいた……。
ふくらはぎから、赤黒い液体が、
ドクドク……と、とめどなく溢れて、
床を汚していく……____
「……あっははははは‼」
その時、
女性が狂ったような笑い声がその場を支配した……。
「……いいところを中断しちゃって本当にごめんなさぁい。
ここはね、銃殺刑の部屋だから、
せっかくだし打ってあげたの。
……ふふ。
キャストが揃ったわね。
それじゃあ、始めましょ。」
女性は私のこめかみに銃口を突きつけたまま、
不敵に笑ってそう言った……。