The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第12章 Master and servant ー主従ー
「おい、クソサド女‼
今度はなんだ‼
降りてきやがれ‼ぶっ殺してやるっ‼」
その防弾ガラス越しに、アイザック=フォスターが
吠えるようにそんな大口を叩いた。
「……あら、ザックったら……。
こんな美女相手にそんな口を聞くなんて相変わらず‼
…………でも、そんなところもシビれちゃうわっ‼」
「……あ?
"美女"っつーのはな……悠みてぇな奴のことを言うんだよ。
テメェじゃねぇっ‼」
「あらやだ、ザック。
もしかして、悠に惚れているのかしら?
……でも、やめた方が良いわ。
あの子は真っ黒よ?」
……貴女に比べれば、
まだグレーですよ……。
ええ…。
黒い原因は、この私……。
彼女自身は、純真無垢な、"白"ですから……。
女性は、愉快そうに笑っている。
……その笑い方が、とても癪に障る。