The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
『…ん?
ここは、何処だろう…。』
「…悠も、やっぱりこの場所には見覚えないの……?」
『……ああ。
あったら、苦労しないんだけどね……。』
苦笑して言うと、レイチェルがあるドアに駆け寄る…。
鉄でできた、堅苦しいドア…。
ーガチャガチャ…‼ー
『…レイチェル…。』
「……開かないみたい…。」
鍵がかかっているようで、そのドアは開かなかった。
そのドアには鍵穴もなく、どうやって開けるのかはわからない。
『…参ったな…。』
しんどさに壁に手をついた…。
と、その時、目の前にあった貼り紙が視界に入る。
「…悠……?」
壁をじっと見つめる私を不審におもったのか、レイチェルが訊ねるように声をかけてきた。
『…殺人、か…。
物騒な世の中だなぁ……。』
「……殺人鬼は、嫌い……?」
能天気な言葉を零す私に、レイチェルが不自然な質問を問いかけてくる。
私は不思議に思いつつも、その貼り紙を見つめながら答えた。
『…まぁ、どんな理由があったにせよ、"殺人"は犯罪で…"殺人鬼"は犯罪者だ。
……でもね、思うんだ。
時には、その悪が必要なこともある。
……優しい嘘が、誰かを守るためにあるように…。』