The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第11章 Floor B3 ー地下3階ー
ーガンッ‼ー
「っ〜〜‼
くっそ、硬ってぇっ‼」
「……鉄だもの。」
反動で手が痺れたであろう……
叫ぶザックに、レイが半ば呆れたように言った。
「あぁ?
鉄……だぁ!?」
「……鉄格子の原料。」
「くっそ、また鉄格子かよっ‼
早く言えよ‼
手が痺れちまったじゃねぇかっ‼」
「……悠が、鉄だって言った……。」
そう叫ぶザックに、
レイが再び呆れたように呟いた。
《あーははははは‼
あらあら、悠とセバスチャンがその中に入ってしまったのね。
このまま一生、飼い殺しにして……あ、げ、る♪》
女性の機嫌良さそうな声が五月蝿く響いた。
「……おいテメェ、ふざけてんじゃねぇよ‼
悠を早く出せ……‼」
《あら、それは無理なお話ね。
だって2人は、自ら牢獄に入ってしまったんだもの……‼》
「……悠とセバスチャンは、
牢獄ってわかっていて入ってしまったわけじゃない。
……2人を、早く出して…。」
ザックの声に対しても……
レイの声に対しても……答えは同じ。
女性は2人に、本当に愉快そうに声を発した。
《……あらあら。
罪人の言うことを聞く断罪人がいて?
……ザック、レイ……。
準備が整ったところで、
あなた達2人にちょっとした選択肢をあげる。》
女性は、ひっそりと声を潜めて言った。
その声は、煩わしく笑っていた……。