The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
『…それにしても、ここ本当にビルの地下……?
横断歩道まであるし…。
まるで、本当に街中にでもいるみたいだ……。』
「…そうだね。
とりあえず、先に進んでみようか……。」
レイチェルが先を歩いていく。
そして、私もそれに続こうと歩き始めたその時……。
横断歩道の前で、キョロキョロと左右を確認するように見ていたレイチェル。
……ふと…レイチェルが、何故か手を上げて横断歩道を渡ろうとする。
……?
レイチェルは、何を…?
『レ、レイチェル……?
何をしているの……?』
「…横断歩道渡る時は、手を上げないと…。」
『い、いや。
ここに車は通らないだろうから、上げなくても大丈夫だと思うよ……?』
私が訊ねると、さも当然かのごとくレイチェルは言う。
……いや、正しい。
正しいんだよ、レイチェル。
……でも、たぶんここには車は通らない……。
「……でも、お母さんとお父さんが、横断歩道渡る時は手を上げないといけないって言ってた……。」
うっわ。
真面目だ。この子……。
純粋な天使さんだわ……。
困惑する私をよそに、レイチェルは再び手を上げる。