The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第3章 Floor B6 ー地下6階ー
「…エレベーター…。
ここで止まっちゃったね…。」
レイチェルが、心無しか悲しそうに言う。
『…B6……。
まだまだ地上へは遠いね…。』
私は溜息を吐きつつそう言う。
そして、鼻をつく異臭に気がついた。
…なんだろう。
何かが腐ったような、臭い……。
ふと…レイチェルが、その臭いの元と思われるダストボックスへ、歩み寄った。
……そのダストボックスには、虫がたかっている。
『…レ、レイチェル…。
あまり、近寄らない方が……。』
「……どうして?
もしかしたら、何か、わかるかもしれない……。」
レイチェルは、少し不思議そうに首を傾げつつ言う。
『……いや、ゴミ箱にはたぶん何も無いと思う……。
虫がたかってるしね…。』
「……そう、だね……。」
私がダストボックスを見て言うと、レイチェルも同じようにダストボックスを見る。
そして、少し顔をしかめて私にそう答えて、ダストボックスから離れた。