The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第11章 Floor B3 ー地下3階ー
「……おい、悠、レイ。
あんな狂った奴に構ってる暇はねぇ。
早く行くぞ‼」
ザックは迷うことなく、1つのドアのドアノブに手をかけた。
そのドアが開いていたらしく、
ドアが開いて、ザックはその中に入っていった。
レイと私…セバスチャンもその部屋の室内にへと足を踏み入れた。
……するとそこには、
マグショットを撮るためであろう、セットが用意されていた。
『うわぁ……。
手が込んでるね……。
こんなボーダー背景、何処で手に入れるんだろう……。』
「……そうだね。」
私の少し引いた呟きに、レイが短く答える。
その部屋は、
ボーダー背景の壁に向かって、
古めかしいポラロイドカメラが1つ……__
それに、
設置されていた長い机が1つだけ……。
その上には、女性に言われた"ネームボード"が4つ……。
その他には、
床に他の"生贄"だったと思われる人々の写真がいくつも落ちていた。
……そこに写っている人は皆、
死を悟ったような…生気のない絶望したような表情をしている。
……まぁ、
あれだけのことがあった後だもんね……。
当たり前か……。
むしろ、
私が平然としていられるのが、不思議なくらいだ。
散らばっていたマグショットを拾い集めて机の上に置くと、
その時レイがそっと口を開いた。
「……ザックはどうして、人を、
殺そうと思ったの……?」
……え、
そんなことを聞いちゃうの……?
ハラハラとする私とは逆に、
興味もなさそうにザックは欠伸をしていた。