The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第2章 The dawn ー始まりー
深く溜息を吐いて瞼を下ろす。
そのまま、更に続ける。
『……レイチェル。
君のことは、もっと知りたいし、仲良くなりたい。そう思っているよ。
……でも、嫌な記憶を無理に思い出させるようなことはしたくない。
……誰だって、そういうものだろう?
……だから、聞かないよ。』
再び瞼を押し上げ、ふっと息を吐き微笑んだその時、
「…………そっか…。」
心無しか、レイチェルのその表情が、軽くなった気がした。
……そこでエレベーターは止まってしまった。
『……さぁ、行こうかレイチェル。
一緒に、ここを出よう……?』
「…うん…‼」
私達は、不安と希望とでごちゃ混ぜになった複雑な気持ちを胸に秘めて、エレベーターから降りたのだった……。