The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第11章 Floor B3 ー地下3階ー
「……。」
レイがそれに歩み寄って手をかける。
それから、少しの間黙ったまま、ただその壁を見つめていた。
「……おい、どうしたんだよ。」
しびれを切らせた俺は、
レイの背後から眉根を寄せて顔を顰めつつそう訊ねた。
「……言っても、ザックがわかるか…………わからない。」
レイは俺を振り返って、向き直ってからそう言った。
「……あぁ!?
わかんねーでも、わかるかもしんねぇんだから、
一応言えよ‼」
『……そうだよ、レイ。
私も聞くから……、言ってみて?』
俺のイラついた叫びに、
悠が俺の隣に並んで、穏やかに声を重ねた。
レイは戸惑ったように首を少し傾げていたが、
1つ頷いて口を開いた。
「…………うん。
……この扉、鍵がかかってる…。」