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The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第10章 Butler ー執事ー





薄暗いエレベーターの中で、
俺は少し低い位置にある悠の横顔を横目でじっと見つめた。

悠は、不安そうな顔をして俯いている……。


……何かを、考え込んでいるようだった。


「……お嬢様、
 顔色が優れないようですが、体調は大丈夫ですか…?

 先程のフロアは冷えたでしょう。
 ……どうか、これを。」


"しつじ"とかいう奴は、
自分の着ていたジャケットのような上着を脱いで、
それを悠に羽織らせた。

悠には、サイズが合わずにブカブカだった。


…………やっぱり、すげぇイライラする……。


『……いや、いい。
 要らないよ、セバスチャン。

 心配をかけて申し訳ないね…。』


羽織らせたそれをそのまま返した悠は
そう言ってからふっと息を吐いた。


「……そうですか。
 どうか、ご無理はなさらないでくださいね……。」


しつじはそう言って、ジャケットを着直した。


『……ああ。
 無理はしてないよ。いつも言ってるでしょ。』


ふっと微笑った悠がそう言ったちょうどその時……。
エレベーターが止まった。


「……おい、悠、レイ。
 行くぞ。」

『はいはい。』

「……わかった。」


俺が言うと、悠とレイがそう答えた。

俺は、わざとしつじを呼ばなかった。
しつじは気にしている様子はなく、薄く微笑んでいる。


…………ムカつく…‼


俺はそう思いながらもエレベーターの外に出た。


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