The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第10章 Butler ー執事ー
レイがザックのところまで降りてくる。
……私とセバスチャンも、道の反対側にへと回った。
「……あ…。」
レイが小さく呟いてしゃがみこむ。
『レイ…、どうしたの?』
「……これ…。」
裏返された墓石に、鍵が貼り付けられているのを見つけたレイが、
針を取り出して、器用にそれを取った。
「……鍵。
エレベーター…動かせるかな……。」
『……たぶん。』
「……おい。」
私とレイの会話に、
ザックの不機嫌そうな声が割って入った。
「…悠、その真っ黒いのは、誰なんだよ……。」
ビシッ‼
と、人差し指1本で、勢いよくセバスチャンを指さすザック……。
私は苦笑しつつ、こう言った。
『……ああ。
心配しなくていいよ。
彼は、私の執事だから。』
「……あぁ?しつじ……?
羊のことか……??」
「…………。
……執事は、屋敷で主人に対して仕える男性のこと……。」
ザックのとんちんかんな返答に対して、
レイがわかりやすい説明をする。
……どうやらザックは、執事を知らないらしい……。