The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第10章 Butler ー執事ー
『……ザック。』
私の呟きに、セバスチャンも私の視線を追って、ザックを見つめた。
そして、微かに眉根を寄せて顔をしかめた。
「…近づくな……‼」
エディとの距離を詰めたザックに対して、エディが叫んだ。
「レイも、悠も……、
もちろん、俺も……。
ここで死ぬ気はねぇんだ。
テメェみてぇなクソガキの墓なんざ要らねぇんだよ……‼」
「…………嘘だ。」
「嘘なんてつかねーよ。
俺は嘘が嫌いなんだ。」
ザックの言葉に絶望したようにそっと力無く小さな声で呟くエディ……。
そんな彼に追い打ちをかけるように、ザックは更にそう告げた。
「__どうして……。
ボクなら2人を幸せにしてあげられるのに……。
__ボクの大切なモノは、いつだって誰かに奪われてばかり……。
____嫌だ……。
2人の最後は、僕が奪うんだ……‼‼」
早口で、何かに取り憑かれてしまったみたいに叫んだエディ……。
……なんだか、不気味だ…。