The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第10章 Butler ー執事ー
「……して?」
『……え。』
小さな声に、私はセバスチャンにつまみ上げられたままのエディを見つめて、小さく声を洩らした……。
エディはそれを気にする様子もなく続けた。
「どうして?どうしてなの……?
ボクは、レイチェルも悠も、大好きなのに……。
大好きだから、ボクの手で殺してあげたいのに…………。」
悲痛な声でエディが言う。
セバスチャンは、つまみ上げたその少年を冷たい紅茶色の瞳で見つめて、
声を出さずに、口の動きだけで私に訊ねた。
「"……殺しますか……____?"」
私は、その問いに対して、ゆっくりと静かに左右に首を振った。
その返答に溜息を1つ零して、セバスチャンはエディを地に降ろした。
エディは力なく項垂れている。
「____そりゃあ…、お前……。
…フラれたんだよ……。」
そこに、ザックの声が響いた。
……いつの間にか、ザックがこちらに歩いてきていた。