The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第9章 Grave care taker ー墓守ー
ザックは壁を強く……、
1度だけ拳を叩きつけた。
そして、こう続けた。
「……おい、レイ。
テメェ、勝手に殺されようなんざ、思うんじゃねぇぞ……‼
このビルにはな、お前を殺したい奴が、たくさんいるんだよ‼
でもな、絶対に…、俺がお前を、殺してやる……‼」
ザックは、一旦蹴ることをやめて、こう言った。
「…………神に、誓ってな……‼」
ー チリン…__ ー
その時、
何処か遠くで、鈴の音が聞こえた気がした……。
「……神、様に……?」
壁の向こう側から、少し困惑したようなレイの声が聞こえる。
ザックが、それに答えた。
「……ああ、そうだよ‼
…だから、俺以外に殺されんじゃねぇ……‼」
そのザックの言葉で、2人のまとっている空気が一変したような気がする。
……何か、信頼のようなものが出来たような……
そんな感じだった。
「……わかった。
ザック、そのまま思い切り、壁を叩いて……‼」
レイの言葉に強い意思が芽生えたような気がした。
力強く発せられた言葉に、ザックも同様に答える。
「……おう‼」
更に、ザックが壁を2,3回蹴ったところで、壁が砕けて散った。
……ザック。
すごい脚力…。
私は、場違いと知りつつ、そんなことを思っていた。