The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第9章 Grave care taker ー墓守ー
『っ……‼』
私は尚も、じりじりとゆっくり後ずさって少年から距離を取った。
「……あーあ。
あと、少しだったのに……。
あと少しで、彼女は"僕のモノ"だったのに……。」
エディはザックを振り返りながら、冷たい声でつまらなさそうに言う。
そして、私の方に向き直って…今度は声を弾ませた。
「レイチェルも、悠もね……。
僕にとって理想なんだ……‼
2人とも、とーっても優しい‼」
そこで言葉を一旦切ったエディは、
私に向かって少し首を少しだけ傾げてみせた。
それから、こう続けた。
「……レイチェルは、小鳥を綺麗にして悠と一緒に埋めてあげてたし、
悠は悠で、墓荒らしのザックに対して怒ってくれた‼」
場違いなくらいに弾んだ明るい声音に、私は戸惑いつつもザックを見た。
ザックは、尚も鋭くエディを睨みつけている……。
ーブツンッ‼ー
『……え。
な、何……?』
その場は、再び暗転して辺りは闇に包まれた……。
ーガンッ‼ー
ーガン‼ガンッ‼ー
……すぐ近くで、大きな音が何度も聞こえる。
……何?
すごく、怖い…………。
何故か、その暗闇が、
とてつもなく怖かった。
どうしようもなく、私は震えてしまった。