The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
『……レイ、まだかな……。』
しばらくの間、ライトの明滅が続いて……、
ライトは元通りに辺りを照らしてくれた。
故障でもしたのかと思ったが、そうでもないようだ。
安心して辺りを見回したその時……__
私は、自身の目を疑った……。
……目の前に、まだ幼い子供が立っていたから……。
「……えへへっ。
初めまして、僕はエディ‼」
ピョンピョンと飛び跳ねながら、愛らしい様子で少年が言った。
焦げ茶色のブーツやグローブも、
青い、ジーンズ素材のオーバーオールも、
真っ赤な長めのマフラーも、
可愛らしくてよく似合っていた。
だが、1つだけ……風変わりで不思議なものを身につけていた……。
麻袋の様なそのお面は、
不格好で、左右で目の大きさが違う。
その奇妙な格好とは裏腹に、
少年は、まだ幼さの残る高くて可愛らしい声で、自己紹介をしてくれた。
『……初めまして。
私は……』
"私は如月悠だよ。"
そう言おうとしたが、私の声は少年の可愛らしい声に遮られてしまった。
「……知ってるよ‼
如月悠だよね‼」
『そうなんだ。
知っていたのね。
君も、迷子……?』
年の頃も、レイとそう変わらないだろう。
そんな子供がこんな所に1人で……__
私は少年を可哀想に思い、そう言った。
だが、少年が紡いだ言葉は予想を裏切るものだった……。