The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
『っ……。
ズボンを絞るにしても、脱ぐなら一言言ってからにしてよ……っ‼‼
少し見ちゃったじゃない……っ‼‼』
私は亀裂の近くで、そう文句を叫んだ。
……それから、そっと自分の唇に触れてみる。
……まだ、
先程の温もりが残っている気がした。
頬が、カァ……と、熱を持つ。
恥ずかしさに耐えきれずしゃがみ込んだ私は、
自身の、熱を持って熱くなった頬を両手で覆った。
『……初めて、だったのに…………。』
そう吐露した瞬間……____
ー ジジ…… ー
ー ジッ…… ー
『……え。』
私は不安になって壁際でそっと立ち上がった。
……フロア全体のライトが点滅している。
『な、何……?』
遠くから、ガンガンと五月蝿い音がする。
……どうせ、またザックが1人で暴れているのだろう。
私は、突っ立ったまま、呆れて溜息を吐いた……。