The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
当のザックは、何とでもなかったかのように水から上がって靴を脱いで逆さまにして振った。
「ったく、ビショビショじゃねぇか。
くっそ……。
レイのやつ、何か見つけてこねぇと許さねぇ…。」
ブーツの様な焦げ茶色の靴を放ってそんなことを言いつつ、ザックは今度は汚れていた赤いズボンに手をかけて脱ごうとした。
『ちょ、ちょっ……。
ま、待って……っ‼』
「……あ?」
ザックは答えながら、ズボン下ろしその布を絞った。
『っ〜!?!?
馬鹿っ‼‼』
「……はぁ!?」
私は叫んで、ザックの不服そうな声を背中に浴びながらも
脱兎のごとく駆け出した。
私は、レイの入っていった亀裂のある第1墓場にへと走り去ったのだった……。