The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
レイはザックの叫びに、レイは静かに歩き出す。
その後ろにザックが続き、私も嫌な予感を覚えながらもそれに続いた……。
……レイがやって来たのは、エレベーターが上がってきたあの場所。
……正直、あまり近寄りたくはなかった。
『……ぶっ!?』
私は遅れた所為で空いてしまった距離を詰めようと駆けたのだが、
急に止まったザックのたくましいその背中にぶつかってしまった。
『……いたた…。』
「何やってんだ。
前見ろ、前。」
『……五月蝿い。』
「それはお前だろ。」
正論を言われ、何も言い返せなかった私は、
自分の額をさすりながら、静かにそう呟いたのだった。
ザックは、私の精一杯の抗議をサラっと聞き流してしまった。
何か言い返そうかと口を開閉させたが、結局何も思いつかず、
私は再び口を閉じた。
するとザックは、私のそんな様子に気づいたわけでもなく、
続いて彼自身の目の前にいるレイに訊ねた。
「……で、レイ。
お前もさっきから何なんだ。
何度も何度も立ち止まりやがって……。」
「……。」
レイが沈黙を返した。
『……レイ?
どうしたの?』
今度は私が訊ねた。
ザックの背後からそっと顔を覗かせてレイを見る。
……当のレイはじっと何かを見つめている。
そのままの体制で、何か考え込むように視線を下げた。