• テキストサイズ

The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー

第8章 Device ー仕掛けー




「……これで、終わり。」


ひと仕事終えたレイは、ふぅ…と小さく息を吐いてそう言った。


「……。」

『……。』


私とザックは一言も発さない。
ザックはどうなのかは知らないが、

……私は、考え事をしていた。


__そうか……。


……覚えている箇所と、そうでない箇所が多々ある。


__思い出した。
__私は…………。


おぼろげだった記憶が、輪郭や色を取り戻し、
鮮明になっていこうとしていた。

まさにその時、


「……悠?」

『…っ‼』


私はレイの、私を呼ぶ声で、現実にへと引き戻された。


「……顔が青い。
 大丈夫?」

『……え。あ、ああ…。
 大丈夫だよ、少し…考え事をしていただけだから…。
 ごめんね。心配をかけて……。』


心配そうに私の顔を覗き込んで言うレイに、
これ以上心配をかけたくなくて、私はそう言って笑いつつ誤魔化したのだった。

……きっと、
頭の良いレイのことだから、そんな私の様子に気づいているのだろう…。
尚も心配そうな顔をしていたが、レイはそれ以上私を追求してくることはなかった……。

/ 373ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp