The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
「……で、
そっちの紙には誰のことが書いてあんだよ。」
「……こっちは、悠の。」
『……。
……え?
わ、私の……?』
急な話の展開に、思わず驚いてしまった私は声を裏返してしまいながらもそう言った。
レイとザックの視線が私に突き刺さる。
……うん。
レイは、まぁ……良いとして、
ザック……その視線は何だか冷たいよ…。
「……うん。
これは、どうする?」
『……んー。
要らないんじゃないかなぁ……。』
レイの問いかけに対して、私が苦笑しながらそう答えると、
レイは私の履歴書も鞄に仕舞おうとした。
……ところが、
「……待て。」
……何故か、
ザックがレイの手首を掴んでそれを静止させた。
「……あんなお人好しの変人が、どう育ったのか……知りてぇ。
レイ、読んで聞かせろ。」
私は、ザックのそんな物言いにプツン__と糸が切れた。
『……はぁ!?
お人好しはまぁ、良いとして、変人って何っ!?
しかも、それが人に物を頼む態度!?
本当に信じられない……っ‼』
声を荒げた私を顔をしかめて見下ろしたザックは、更にこう言った。
「……うるせぇ。
墓、壊したくらいでピーピーガキみてぇに泣く奴の、何処が変人じゃねぇって言うんだよ。
すぐ泣く奴が、変人じゃなくて何だって言うんだよ。
……ああ?
言ってみろよ、悠……っ‼」
私の声に、喧嘩腰になってザックが言う。
私も負けじと、大きく息を吸い込んだ。