The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
今時、そんなことが起こりうるのかと驚いて、私はザックを見た。
……けれど、
ザックが嘘や冗談を言っているようには思えない。
そんな素振りを見せてもいないし、
そもそも、ザックは嘘や冗談を言えるほど、器用ではないのだ……。
「……そう。」
レイはそれだけを短く言ってから少しの間黙って、考え込むような素振りを見せた。
それから更にこう続けた。
「……じゃあ、
この履歴書は…もう要らない?」
「……まぁ、どうせ読めねぇしな。
…それに、お前のことがわかったところで、それ以上も以下もねぇよ。」
レイは、ザックにそう言われて、しばらく自身の履歴書を眺めていたが、そっとそれを丁寧に自分の鞄の中に仕舞った。