The Anjel ー殺人鬼と悪魔に魅入られた人ー
第8章 Device ー仕掛けー
『……何?』
不機嫌な私は、つっけんどんに冷たく言い放つ。
そんな失礼な物言いと問いかけにも関わらず、
当のザック本人は、少しだけ笑った。
……あ、
こんな笑い方もするんだ……____
『……っ!?』
私がそう思うと同時に…
私は驚いてしまった。
「……お前が泣いてると、なんか、モヤモヤすんだよ。
…なぁ、悠?
泣き止んでくれ……。」
ザックは、そっと私の頬を撫でた。
私は触れられた瞬間、ビクリと小さく身体を震わせたが、そんな"殺人鬼"とは思えない優しすぎる言動と声音に、私はとても驚いたのだった……。
包帯で覆われた、ガサガサしている荒れた掌の温もりがとても温かい……。
こんな風に、人に優しく触れられたのは初めてだった……。