第6章 これは恋のゲームだよな?
翌日は何食わぬ顔で仕事に向かった。この日は石橋局長も武田部長も揃っていた。
うっ・・・ぐっ・・・。なぜかお腹に力が入る。
朝の会が終わり、掃除に取り掛かる、そういや、昨日の言い訳に西田が出てきたが一緒にランチしたなんてことはない。何もかもでたらめな作り話だ。
誰かに怪しまれてる気がして冷ややかな目を向けられてる気がしてならなかった。しかし、部長も局長も淡々と仕事をこなし淡々と指示してくる。
「清水君、これやっといてね。」
「あっ、はい。あの・・・この間のこと・・・。」
「私語は慎みなさい。」
「すみません。」
そして黙々と仕事をして帰る時間となった。みんながぞろぞろと帰っていく。
「清水くん、話があるから残ってくださる?」
「あっ、はい。」
僕が席か立ち上がると西田が俺の肘をついてきた。
「なにかやらかしたんじゃねーの?ま、俺は先に帰らせてもらうけどな。お疲れさん!」
「おっ、おう。」
みんなが帰って部長と2人っきり。
「あの、今日の仕事で何か不備でもー。」
「違うわ。今後のことについて話そうと思って。約束事を決めない?」
「約束ですか?」
僕が冷や汗をかきながら言った。
「んー?ここじゃあ、話しにくいわね。ちょっと食事でもしながら話しましょうか?」
「はぁ・・・。」
武田部長に誘われて近くのファミレスにやってきた。
よりによってサラちゃんの勤務地だ。バレたらおしまいか?
「あの、話って何ですか?」
僕が席に着いて不思議そうに聞いた。
「プライベートでは色々あったけどその話は仕事ではしないこと。あくまでも私たちは上司と部下という関係ですからね。」
「あーなるほど。」
「せっかくだから何か頼まない?」
「その前に奥さんに連絡入れてもいいですか?」
「ふふっ、いいわよ。」
僕がLINEをしている間に部長はメニュー表を眺めていた。
「その愛妻家がいつまで続くのかしらね?」
「何か言いましたか?」
「いいえ、なんにも。」
部長が何か言った気がしたけど特に気にしなかった。