第6章 これは恋のゲームだよな?
リッツカールトンに来てしまった。莉子にはこの日は仕事だと言ってある。また嘘ついてしまった。
「食べないの?」
なるちゃんにそう言われて慌てて紅茶を飲む。
本当は落ち着いて優雅に振る舞うところだろうが僕は落ち着かないでいた。
暫くするとお店のドアが開いた。カランカランと音がして入ってきたのはなんと莉子だったのだ。
そういえば・・・先日、莉子が嬉しそうに友達とアフターヌーンティーに出かけるんだと言っていたけどこのことだったのか。
バレないようにしなきゃ。
「今日の悠真君変ねー。わかった!」
「へっ?」
「仕事で疲れてるのね。そりゃお疲れよ。私が癒してあげましょうか?うふふふっ。」
なるちゃんの笑みが心に突き刺さる。
こんな時に限ってよしてくれよー。そう思いながら僕は不自然な笑みを浮かべてケーキに手を伸ばした。
パクリと食べるといつもは甘いケーキがなんだか苦く感じた。
気のせいだろうか?
「おっ、おいしいね。」
「ここのケーキ食べてみたかったのよね。マカロンも食べちゃおうっと。」
嬉しそうにケーキにマカロンに頬張るなるちゃんに僕は作り笑みを浮かべながらなんとかその場を装うことしかできなかった。