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僕は昨日、不倫しました

第6章 これは恋のゲームだよな?


着々と進んでいく結婚式に僕は盛大な拍手を送った。そして余興が始まる頃に僕は目を疑った。

僕の前の席になるちゃんがいたからだ。後ろ姿ではっきりわかった。


なるちゃんだー。

すると彼女は僕がいたことに終始気づいていたかのように後ろを振り返り手を振ってきた。

僕はここで手を振り返すわけにはいかず冷や汗をかきながら目を逸らすしかなかった。隣に莉子がいるのにバレたらおしまいだろう。しかし、なるちゃんには既婚者だということは告げていない。それなら手を振り返さなかったのは余計に不自然に見えるのではないかとも考えた。しかし精一杯の結果がこれだった。

それから余興は楽しく進んでいったが僕は浮かない顔をしてステージを見ていた。

食事の時間になり皆んなが一斉にテーブルに運ばれた料理を食べ始めた頃に僕は莉子に断ってトイレに向かった。

トイレで用を足して戻るとなるちゃんが腕を組んで男子トイレの前にいた。

「なんで?」
まだ理解できない頭をフル回転にしてそう答える僕。

「なんで手を振り返したくれなかったのよ?気づいていたんでしょう?」
「それはえっと・・・。」
僕が躊躇っているとなるちゃんの口元が緩んだ。
「ははーん。実は緊張していたな?そりゃそうよ。友達でもあり同僚の結婚式ですものね。それにしても第一声がなんで?とはガッカリだわ。」
なるちゃんかため息をついた。
「いや、そう言うんじゃなくて西田となるちゃんってそんなに親しかったっけ?と思ってさ。」
「それなんだけどね。西田くんの奥さんがオカマバーに興味あったらしくて夫婦で通いに来てくれてたのよ。知らなかったでしょー?」
「へっ、へぇ。」
僕は精一杯の言葉を返しながら後退りした。
「今さら怖がることなんてないじゃない。だって悠真君ってばまだ未婚でしょ?まぁ、私と結婚できるかはアレだけど。そうね。日本の法律が許してないか。でも事実婚っていう選択肢もあるわ。」
どうしよう?今更、既婚者なんて言えない。僕は迫ってくるなるちゃんを振り切って走った。
「急いでるからごめん。またの機会に埋め合わせするから!」
こんな言葉しか出てこない自分に嫌気がさしていた。

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