第6章 これは恋のゲームだよな?
それから業務が終わり僕は武田部長と郵便局に残ることになった。やっぱり葵ちゃんの家に上がり込んでいたのがまずかったかな?と思い怒られるのを覚悟して窓口の奥の椅子に座った。体が強張っていて何も言えないでいると武田部長がスーツを脱ぎ始めた。
「へ・・・・?」
僕は驚きが隠せずにきょとんとしてしまった。
「なぁに?さては鬱憤が溜まってるんでしょう?だから今日の配達の時に寄り道したのよね?」
部長が僕の方に歩み寄って来た。
「いや、別に鬱憤とか溜まってないですけど。本当に申し訳ございませんでした。次からはこのようなことがないように気をつけますので・・・。」
僕が椅子から立ち上がって頭を下げて言いかけると今度はメガネを外して机に置いた部長が僕の顔をまじまじと見た。
「へぇー気が付かなかったけどいい顔してるのね?今夜私とどう?」
「いや、どうって言われましても。妻も待ってますし何もないなら帰らせてください。」
僕が焦りながらそう言うと部長は笑った。
「あはははっ!何を怖がってるのよ。バレないように上手くやるのが男の勤めでしょうが?」
「はい?」
「実はね、ここ最近なんだけど清水君に辛く当たってしまって申し訳ないなと私の方こそ思ってたのよ。だからお詫びも兼ねてこのあと飲みに行かない?」
「そういうことだったんですね。でも妻には残業で遅くなるって伝えてあるから、これはまずいんでは?」
しどろもどろになりながら僕が言った。
「それよそれ!残業で遅くなるって言ってあるんでしょ?だったらそれを貫き通せばいいじゃない?それに前から清水君のこと狙ってたし。」
ええ?あの生真面目な武田部長が?なんでこんな展開になっえるんだよ?
まてまて、整理させてくれよ。なるちゃん、サラちゃん、葵ちゃんと部長?これってまさかの四股ってやつ?二股ならよく聞くけど4人なんてしかも莉子入れたらどうなるんだ?
ダメだ・・・・もうわからなくなって来た。
部長との誘いを断ることもできたのだが、そうなると今まで関わって来た女性達はなんなんだ?ということになる。そうなると部長の誘いだけ断るなんておかしいよなと自分で納得してしまった僕は部長の誘いを受け入れてしまったのだ。
後悔してもすでに遅し。さてどうなる?