第5章 まさかの三股に突入⁉︎
翌日も郵便局に出向き、仕事に精を出した。
葵ちゃんの件は道に迷ったと武田部長に嘘をつく羽目になったがバレずに済んだ。
そうやっていつも過ごしてきたじゃんかよ。バレなければいいんだよな。バレなければー。
午前中はお客様の窓口でお中元の受け取りで忙しかった。
やっとお昼だー、と俺は自分のデスクに弁当を広げた。
「おっ、水島じゃん。西田も一緒に食べようぜ。」
「いいね。」
この日は水島と西田と座って並んで食べた。
西田は相変わらずのコンビニの冷やし中華をすすっていて、水島はパンにかじりついていた。
「クロワッサンじゃん。最近できたとこのだよな?」
俺はワクワクして水島に聞いた。
「そうなんだよ。それがクロワッサン買うのに予約が必要らしくて、昨日仕事休みだったから予約して取りに行っててさ。よかったら1つやるよ。」
「えっ、いいのか?苦労して取ってきたやつだろう?」
俺も西田も最初は軽く断ったが、水島から"友達だから"と言われて受け取って食べた。ほんのり甘い蜂蜜がかかっていて外はサクッと中は柔らかい生地だった。
友達と言われてなんだか申し訳ないな。西田にも水島にも嘘ついてた気がするなぁ。
「すげーうめぇ。今度俺なら100個大人買いしてやるよ。」
西田がそう張り切っていた。
「それは店の人も困るでしょ。無くなり次第終了らしいからさ。まぁ、気持ちだけ受け取っておくよ。」
水島が笑っていた。
午後は配達があるのでバイクに跨って手紙やお中元を届けた。
石橋局長からはお客様の家のインターホンを押しても留守だった場合は引き返して別の日に行くように言われている。
「ここの家は留守か。また別の日に行くかな。えっと次はー。」
夏はさすがに被っているヘルメットが暑い。でも安全のためだから仕方ないけどな。
それにしても暑すぎる。郵便局内はクーラー効いてるけど、さすがに配達は身の安全のためフル装備だから上下ともに長袖の繋ぎまたいなのを着る。
僕はバイクに跨り走り出した。配達安全にかつ早く終わらせて郵便局に戻ろうっと。