第5章 まさかの三股に突入⁉︎
僕はとうとうとんでもないことを犯してしまった。
僕が四股になるなんてー?
ついに葵ちゃんとも連絡先を交換してしまった。これが友達止まりならいいけどそうもいかないか。
翌日、郵便局に行くと局長がみんなにこう言った。
「そろそろお中元の季節だから気合いを入れて配達に行くようにな。」
「はい。」
僕らは頷いた。
もうお中元の季節かぁ。そう言えばここの所暑いなぁと思っていたらもう7月だ。
今年も局長からお中元の説明があった。
郵便局で配達が多いのは夏と冬だ。冬は年賀はがき配りやお歳暮の配達で忙しく夏はお中元や、暑中見舞いでてんてこまいだ。
それから毎日のようにお中元の配達に追われた。
そんなある日だった。この日も普通に家を出て郵便局に向かうと午前中はお客様窓口の業務い追われて午後はお昼を挟みお中元の配達に出かけた。
ブロロー。
「ふぅー、あとこの大きい包みだけだな。」
お客様の家の玄関付近でバイクを停めておいたので荷物入れの中を確認した。
僕はバイクに跨り走らせると目的地へと走った。
「確かこの家だよな。」
バイクを停めて門をくぐると立派なお屋敷だなと思った。
日本庭園が広がり大きな池には鯉が泳いでした。奥には竹林が見えた。
どこの金持ちなのかな?と期待しつつ呼び鈴を鳴らした。
ピンポーン。
「今開けますわ。」
どこかで聞いた事のある声がしてドキッとした。
ガチャッ。
「お久しぶりね。」
三枝葵ちゃんだ。なんでー?
「お中元を届けに伺いました。これを。」
僕がお中元を差し出すと彼女は嬉しそうに抱き抱えた。
「そうよ、これよ。ここのぜりぃ美味しいのよ。良かったら食べていかない?」
彼女は嬉しそうに微笑んだ。
「すみません。僕は仕事中ですのでー。」
僕は仕事中だったため謝って帰ろうとしたその時だ。彼女に手首を掴まれた。
「絶対に逃がさないんだから。」
僕の手首を彼女が掴んだ時こんな言葉が聞こえた。
「今なんて?」
「ふふふーん。とにかく上がってよ。職場の人には道に迷ったとでも言っとけば大丈夫よ。私が保証してあ・げ・る。」
彼女にウィンクされて家とも呼べない豪邸に上がるしか選択肢はなかった。
「でも、バイクを玄関先に停めちゃいましたし。バレますって。」
僕だって必死に抵抗はした。でもー。
「わかったわよ。私が付いて来てあげるから近くの駐車場にバイク停めて来てよね。」