第4章 謎の微笑みを向ける美女は!?
休日のある日、僕は葵さんの呉服店に向かった。この日は特に嘘をつく理由がなかったため莉子には気になる着物屋さんがあって。とだけ伝えて家を出た。
カランカラン。
ドアを開けると早速彼女が笑顔で出迎えてくれた。
「いらっしゃいませ。」
うわぁーやっぱり着物が似合う美人っていいなぁ。なんて思うとなるちゃんやサラちゃんに申し訳ないけど。
「お好きな着物を選んでくださいね。ご試着の際は一声掛けてください。」
「わかりました。」
「そうだわ!私、あなたの名前を聞きそびれてしまって。名前は何と言うのですか?」
急に彼女に聞かれて驚いてしまった。まぁ、確かに言ってなかったけど。
「僕は清水悠真です。それにしても豪華な着物でお高そうですね。」
「悠真さんと仰るんですね。着物は高いのから安いのですとペットボトルのかけらから作られたのもあり、こちらだと洗濯物可能なんですのよ。ご試着いかがですか?」
どの着物も鮮やかで見応えあふものばかりだった。この中きら選ぶとなると迷うなぁ。
「着物って洗濯できるんですね。凄い!」
「こちらの青の色のは如何でしょうか?龍の模様が施してあるためとてもお美しい一着なのですよ。」
葵さんに勧められるがままに試着室に移動した。
「私は試着室の外で待っていますから着替えたらカーテンを開けてくださいね。」
「わかりました。」
試着室に入り肩に羽織って適当に帯を結んだ。まぁ試着だから適当でいいか。なんて思うけど実際は着物の着方がよくわからない。
「こんなのでいいんですかね?終わりました。」
シャーッとカーテンを開けて中きら出ると葵さんは嬉しそうに手を叩いた。
「まぁ、とてもお似合いですわ。私にもっと良く見せてくださいまし。」
葵さんがまじまじと僕を見つめた。
「とても素敵な方なのですね。よろしかったら悠真さんのこともっと知りたいな!?」
葵さんが僕の手を握って言った。
親密ってまさか?
謎の微笑みを向ける美女が続けてこう言った。
「何がなんでも手に入れて見せますわ!そしたら私の魅力に気づくはずよ!誰にも負けないんだから。また、いらしてね!」
美女は僕の頬にキスをするとレジの奥に消えていった。
結局着物は試着だけで終わったがこれから波乱の展開になりそうだ。