第1章 日常生活に魔が差して!?
今日は新人歓迎会だと聞いている。本当は部長も出たかったんだろうなあと思うと申し訳なくなる。そして今日の主役は後輩の木下将生だ。今年の4月から入った新人で大学を出たばかりの22歳だ。
「お待たせ!」
僕は水島と車を降りた。
「本日はよろしくお願いします。」
中々低姿勢の後輩ではないか。これは教え甲斐がありそうだな。
「実はさぁ。木下がどうしてもここがいいって聞かねーからここにしたんだけど。俺らも初めてだよな。」
「あっうん。」
僕も西田の声に合わせる。いや、普通は先輩が場所もセッティングするんじゃないの?
「ほら、行こうぜ。」
僕は西田に背中を押され歩いて行った。
「ここは?」
姫ちゃんずクラブ?キャバクラか?こんな所に行ったらまずいって!
「本当に木下がここがいいって言ったのか?どうせ西田か水島に言わされたんだろう?」
僕は不審がった。大学を出たばかりの子がここを選ぶなんておかしいと思ったからだ。
「やだなあ先輩!僕が選んだから間違いないんですよ。」
「でも僕結婚してるから怪しまれないかな。」
僕はこの時血の気が引いた気がした。
「大丈夫ですよ。普通じゃないですから。」
木下は笑顔でそう言う。
だったら何かあったら僕の責任取ってくれるんですかあ?
「やだなー先輩顔が引きつってますよ。」
「ちょっと、まだ僕はおわああ。」
僕は西田に背中を押され木下に笑顔で迫られ逃げることはできなかった。
カランカラン
「いらっしゃいませ。ご主人様。」
「キャバクラならキャバクラって言ってくれよ。」
僕はため息をついた。
「ごめんって!でもほら、普通じゃないだろ?」
西田と水島が顔に手を合わせ僕に軽く謝ってくれた。
「え?嘘だろう?」
オカマのキャバクラってことはニューハーフ?
男のキャバクラかいぃぃぃぃ。
僕は一瞬倒れそうになった。
「大丈夫ですかご主人様?」
店員の女性であろう男性が僕に声を掛けてきた。
「あっ、いや、大丈夫です。」