第4章 謎の微笑みを向ける美女は!?
僕は平然を装って家に帰宅する他なかった。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
なるべく笑顔でいるように心掛けた。
「あっ、そうそう。私ねiPhoneでー。」
「なぁ、キスしていい?」
「急にどうしちゃったの?」
キスで紛らわせ作戦に出ることにした。
「いいわよ。」
僕は鞄を床に置き莉子を抱きしめキスをした。
ぶはっ。
「はぁはぁ、悠真君ったら今日は一段と激しいわね。」
「だってだってエプロン姿の莉子がかわいいから~。」
「毎日見てるでしょう?あっそうそう。私iPhoneでインスタグラム始めちゃった。」
莉子がにこやかに言う。
「そっか。よかったね。」
「自分の作った料理を載せようかと思ったのよ。それでなんだけどね。最初にいろんな動画とか写真とか他の方のページが見えるじゃない?」
莉子がキッチンに向かいながら言う。
「ああ、うん。」
僕もキッチンに入り頷く。
「ねえ、この動画の人って悠真君じゃあ・・・ないわよね?」
「えっ?」
莉子が固定電話の横のiPhoneでインスタグラムを開いた。
僕は自分の目を疑った。そこにはサラちゃんとデートした時にネット番組の取材が来ていて僕とサラちゃんで答えている動画が映っていた。
誰がこんなの流したんだよ?でもよく見ると知らない人の投稿だった。ネット番組のはずじゃなかったのかよ?
「人違いじゃないかな?世界中には似たような人沢山いるし。」
僕はその場を取り繕った。
「ならよかったわ!心配して損しちゃった。」
莉子がやっと笑顔になったので内心ほっとした。
バレなくて良かった。そういえば莉子って鈍感な性格だっけ?まあ今後もバレないといいな。
「僕着替えてくるよ。」
「わかったわ!今日はぶたしゃぶよ。」
「やったー!」
今日の夕食のメニューを聞きウキウキしながら僕は階段を駆けて行った。