第3章 2人目の死角
翌日になり僕は仕事に励んだ。
「行ってきます。」
「気を付けて行ってきてね。遅くなるようなら連絡してね。」
「うん、わかった。」
いつもの何気ない一コマである。
そして郵便局に着き朝の掃除をする。
「ふわぁ~。」
昨日の疲れが溜まっているのか僕はつい欠伸をしてしまった。
「ちょっと、清水君どうしたの?」
そこにモップを掛けていた武田部長が話しかけてきた。
「ちょっと昨日は外へ出歩いていたものですから疲れちゃって・・・あっ、いや疲れは取れたつもりだったんですけどまだ抜けてないみたいですね。すみません。」
僕は必死に謝った。仕事に支障が出るのでは困るからな。
「休日は何の為にあるのか知っていますか?日頃の仕事の疲れを休める為にあるんでしょう?プライベートな疲れを仕事に持ち込まないで欲しいわね。」
武田部長は眉を顰めた。
「済みません。」
すると武田部長がハンカチを濡らして持って来てくれた。
「これで顔でも拭いたらどう?少しはスッキリするわよ。」
「ありがとうございます。」
僕はお礼を言って顔を拭いた。
そして部長にハンカチを返すと掃除に戻った。
「何やってるんだかぁ?」
そこに西田がお手上げポーズをしてきた。
「西田に言われたくないけどな。いや~昨日は色々あったんだよ。」
僕は苦笑いをする。
「色々って何だよ?」
西田が驚いて聞いてくる。
「兎に角色々あったんだよ。」
「ああ、そう。」
西田は冷たく言葉を返すと掃除に戻って行った。
午前中の僕の仕事はパソコンに向かいデーターを打つ仕事だった。
「お客様窓口が今日の担当じゃなくてよかったけど次から気を付けないとな。」
僕はキーボードを打ちながら小声で呟いた。
サラちゃんはとんでもない子だ。振り回されて散々だ。どうにかしないといけないけど今更別れるのもなんだしなあ。本当なら僕が主導権を握れればいいんだけどどうすればいいんだろう?そうか、僕の行きたい所についてきてもらおう。
「なるほどねっと。」
「何がなるほどですって?」
「うわあ、済みません。」
急に武田部長が僕の前に現れたので驚いてしまい咄嗟に大きい声を出した事に謝るしかなかった。