第3章 2人目の死角
「はい!払ってくれるんでしょう?」
サラちゃんが商品の入ったかごを僕の前に差し出した。
「えっと食器セット2つ分ですか?」
僕が驚いているとサラちゃんが笑った。
「あはっは。やだなあ。いずれは悠真君と一緒に住むんだから買っておかなきゃね。」
ええ?待てよ・・・僕世帯主なのに一緒に住む?でもいずれってことは今すぐじゃないんだよな?
「買えばいいんだろう?」
「Thankyou!」
ハーフのノリで言われ背中を押された僕は結局彼女が選んだものを買ってあげるしか選択肢はなかった。まぁ、デートでは恋人が払うのがルールなんだよな。
それに味を占めたのか次の洋服店でも僕が買わされた。
やめろー!もう、うんざりなんだよ。どこまでわがままなんですか?
「アウトレットって楽しいねえ。」
彼女は陽気に笑いながら歩いている。
「どうしたの?」
先を行く彼女が僕の方を振り返った。
「まさかお昼ご飯も僕のおごりとか?」
「当たり前じゃん。でなきゃこんなミニバッグ下げてこないでしょ?」
確かに彼女のバッグを見るとスマホが入るか入らないか位の小さなバッグを肩に掛けていた。
「そのことなんだけど、お昼代もあるから買い物はこれくらいにしない?でないと僕の財布がもたなくて。」
僕はため息をついて言った。
「What's?Do you did not bring the why extra money?」
「日本語話せるよね?何で英語なの?」
すると彼女が英語で聴き耳を立ててきた。
「I can't speak japanese!わからなーいでーす。」
何でそんなんとこだけ外国人ずらするんだよ!?本当はわかっているくせに。僕はそう思うと余計にいらいらした。
「兎に角このままだとお昼食べられなくなるけどいいの?」
僕は必死に訴えた。
流石に僕のお財布の中はスカスカになりかけていた。
「はいはい、わかりました。」
ようやく彼女も堪忍したのか諦めたようだ。
危なかった!危うく色々買わされる所だったな。サラちゃんは要注意人物だということを覚えておこう。