第3章 2人目の死角
そしてデート当日となった。この日も莉子には仕事だと嘘をつき平然を装った。最初はバレたらどうしようという思いしかなかったがバレなければいいやという気持ちに代わって行った。
「行ってきます。」
「気を付けてね。」
笑顔で手を振る莉子に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
亀山書店の駐車場に車を停めて急いで着替えるとまた車を走らせた。
「確かサラちゃんのアパートってここだっけか?」
僕はアパートの駐車場に車を停めてサラちゃんの部屋へと向かった。
ピンポーン
「この間のメールの悠真です。」
「Hello!じゃあ行こうか。」
ドアを開けてサラちゃんが外に出てきた。
こんな所でハイタッチされなくてよかったと僕は思った。
サラちゃんはハーフだから外国人のノリに気を付けないとな。
「えっと後ろに乗る?」
僕は後部座席のドアを開けようとした。
「What's up?どうして後ろなの?ふつー前でしょ!」
「ですよね。ははっ。」
サラちゃんは外国人のノリで呆れ顔をすると助手席に座った。
「シートベルトしておいてね。」
「OK!」
こうしてアウトレットに向かった。
駐車場に車を停めると僕らは歩いた。
「手を繋ごうか。」
「うん。」
サラちゃんに嫌われたくないのとさっきは失敗したから名誉挽回しないとな。
アウトレットに着くと沢山の人々でいっぱいだった。
これなら人ごみに紛れてバレないか。
「ねえ、ねえ。このお店見ていこうよ。」
あれ?ハーフの子だからか?ずいぶんぐいぐいいくなあ。
サラちゃんは積極的に僕の手を鷲掴むとお店の中に入って行った。
「いらっしゃいませ。」
お店の店員さんが声を掛けてくれる。30代前半の女性だろうか。清潔感ある女性でいいなと思った。
「インテリアかあ、いいね。」
「最近DIYに凝っててさ。」
サラちゃんは嬉しそうに店内を見て回った。それに僕も付き合ってあげた。
「うわあ、木のスプーンかわいいね。ミッフィーちゃんとかに出てきそうじゃない?」
「そうだね。これ買うの?」
「買おうかな。何ならこの食器セットも買っちゃえ。」
サラちゃんは上機嫌で商品をかごに入れていく。
「え?」
僕はそれから言葉が出なかった。