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僕は昨日、不倫しました

第1章 日常生活に魔が差して!?


そして仕事もひと段落した所でお昼の時間となった。僕は机に妻が作ってくれた弁当を広げた。
「あら、奥様のお弁当?愛情こもってていいじゃない。」
武田部長が僕の弁当を覗き込んで言った。
「それが凄く美味しいんです。あれ?武田部長はコンビニのですか?」
僕は驚いて聞いた。いつもはお弁当を持参する武田部長が今日はコンビニのサンドイッチだったからだ。
「ああ、家を出でくる時にうっかり忘れちゃってね。」
「へえー。そうなんですね。」
「ちょっと、何その言い方?私だって人間なんだから忘れることだってあるわよ。今日はたまたま忘れただけでいつもは持ってきてるんですからね。」
部長はムキになっていた。
わかってますよ。いつもは部長が完璧なことぐらい。
そしてお昼御飯が終わると僕は同僚達と仕事に向かうことになった。
「西田君は5件回ってもらいます。水島君は10件ね。えっと清水君は75件ね。」
武田部長が僕らに指示を出す。
「やったー今日は5件だ!」
と、喜んでいるのは西田智之だ。
「昨日より多いとか・・・はぁ。」
と、がっくりしているのは水島賢人だ。
2人は僕と同じ時期に郵便局に入った数少ない同僚だ。
「ちょっと待って下さいよ!何で僕だけ75件何ですか?」
僕は事の大きさを武田部長に訴えた。
「よく考えてご覧なさいよ。清水君の方が数は多いけどこのルートだと立て続けに配ることになるから2人より早く終わるんじゃないかしら?それに比べて2人は数が少ない分あちこち行かなきゃいけないのよ!私だって差別してる訳じゃないわ。昨日は少なくしてあげたんだからお互い様です。わかったらさっさと仕事に就いてくれますかぁ?」
武田部長がヒールで僕の靴の上を思いっきり踏んだ。

痛っ!?

そう、武田部長には僕ら同僚の間に別の呼び名があったのだ。
”鬼部長”という呼び名がね。

でも本人の前では怖くて言ったことはなく3人で秘かにそう呼んでいる。怒ると相当怖いので彼女を怒らせてしまったら地獄を見るようなものなのだ。
「わかりました。行ってまいります。」
僕らは敬礼した。
「くれぐれも失敗しないでね。安全運転で行くのよ。いいわね。」
部長が謎の微笑みを浮かべ腕を組んでいた。これは怒っている証拠なのだ。
そして僕らはバイクに手紙を入れて跨るとヘルメットを着けてそれぞれが走り出した。



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