第3章 2人目の死角
それからというもの度々デニーズに足を運ぶのが僕の日課となってしまった。勿論莉子が作ってくれた弁当を食べる日だってあるけれど。何故だか僕も分からない。ファミレスなどどこだって変わらないはずなのにと思う。デニーズの店内が明るく足を運びやすいからだろうか?それとも料理が美味しいから?僕は料理を頼んだ後考えいていた。この日は一人で来ていたので料理が運ばれてくるまで考えていたのだ。
僕はお店に行くといつも思う。あのハーフの子また来てるなって。初めてデニーズを訪れた時に彼女はウェイトレスとしてにこやかに出迎えてくれた。
「ここで働いているのかぁ?正社員か、それともアルバイトか?」
他のウェイターやウェイトレスよりもハーフの彼女が目立っており僕は彼女がどんな人か知りたくなった。
「お待たせしました。」
するとハーフのウェイトレスが料理を運んできた。
「ありがとうございます。あなたはハーフなんですか?」
僕は咄嗟に思ったことを聞いてみた。
「申し訳ございませんがそういったプライベートのことはお答えできません。仕事中ですので。」
彼女は申し訳なさそうに頭を下げた。
「いやぁ、すみません。前から気になっていたものですから。」
僕は苦笑いをした。当然のことである。彼女は仕事で来ているのでここでプライベートのことは話せないのだ。
「実は私もです!この後で。」
すると彼女はウィンクして僕の手のひらにメモ書きを載せて去って行った。
「何だ?あっ・・・。」
紙を広げるとそこにはこんなことが書いてあった。
『こんにちは!あなたはすっかり常連ですね♪私のアドレス書いておきましたのでよかったらどうぞ!』
そして最後にはこんな言葉が綴られていた。
『あなたと素敵な関係になりたいな。』
素敵な?関係・・・。
僕はごくりとつばを飲み込むとメモ書きをズボンのポケットに忍ばせて料理を食べ始めた。