第2章 危険な香りが漂って
そしてとうとう日曜日となった。莉子はご機嫌でママ友とのランチへ出かけて行った。
「何時頃戻りそうかな?」
僕は玄関先で莉子に聞いた。
「3時のお茶もしていきたいから4時ごろかしらね。ふふっ、もしかして私がいないんで寂しかったりして。なんなら早く帰ってきましょうか?」
「いいんだよ!たまにのランチとおやつも楽しんできなよ。僕はやりたいことしてるからさ。」
僕は笑顔を作った。
「ふーん、やりたいことって何?」
莉子が僕に聞いたので少し焦ってしまった。
「音楽でも聞こうかなーって。久々にCDの整理でもしながらさ。」
「わかったわ。行ってくるわね。」
「いってらっしゃい。」
バタン!
莉子が出かけたのを見届けたら僕は片づけを始めた。莉子との思い出写真は押し入れに仕舞い、結婚式の時にもらったペアグラスを食器棚の奥の方へと片付けた。
掃除機をかけて床を磨きトイレの便座カバーと床のカバーを外して押し入れに仕舞った。
「あとはっと。そうだ!莉子のタンス・・・。」
開けたらやばい!女性ものの服や下着はどうすればいいんだ?
「ああ、このタンスをどこかに運べないかな?」
しかし運ぶ場所がなく無理である。
「まぁ、寝室には入らないようになんとかするしかないな。」
僕がそう思った時に玄関のチャイムが鳴った。
ピンポーン
「はーい・・・。」
仕舞った!玄関のマットどうすればいいんだ?
僕はあたふたしながら玄関のドアを開けた。
ガチャッ
「やぁ、こんにちは。ようこそ!」
「ヤッホー!来ちゃいました。あっそうだ。私の行きつけのカフェでお菓子買ってきたから食べましょう。」
七瀬さんは笑顔で僕の家に入って行った。
「それにしても一人暮らしなのに大きな家ね。」
「ああ、うん。あがってよ。」
僕は七瀬さんの背中を押してリビングへ誘導した。
「今お茶入れるけど何がいい?」
「私ミルクティーがいいな♪。砂糖なしのでお願いね。」
七瀬さんにそう言われ少しどきりとした。
「えっとミルクティー・・・あった。ミルクティーの粉なのでいいや。」
僕はミルクティーのパッケージを開けてスプーンでカップに入れるとポットのお湯を注いだ。
「お待たせ!」
お盆にカップを載せて運ぶとテーブルに置いた。そしてしばらくの間七瀬さんと話しながらお茶をした。