第2章 危険な香りが漂って
「みなさま!こんにちはああ!」
武田部長も相当酔っているらしく上機嫌で挨拶をした。
「今年、私が物まねするのは・・・Queen - I Was Born To Love You です!」
「えええ?」
みんなが驚くのも無理もない。何故って普段の武田部長とイメージが違いすぎるからだ。
この曲はカップヌードルのCMで流れていたため聴いたことのある人が多いはずだ。
武田部長は飲み終わった紙コップを何故かマイクに見立て歌った。
「おお!」
歌が終わると拍手喝采だった。
次に西田と水島が2人でサンシャイン池崎さんの物まねを全力でやってくれた。今流行りの芸人だからすごく面白かった。
そして最後に局長が細川たかしさんの”しあわせ音頭”を歌ってくれた。
その後みんなでゲラゲラ笑っていたら誰かの声がした。
「ヤッホー!」
誰だ?こっちに来るぞって七瀬さん?
僕は耳に手を当て違うんだと自分に言い聞かせた。
「あれ?七瀬さんしゃないですか?」
西田と水島が驚いて言った。
うわー!やめろよ。僕は心の中で叫んだ。
「あら?この方は君達の知り合いなの?」
武田部長が西田と水島に怪訝そうに聞いた。
「僕らっていうか。木下に紹介してもらったようなもんで。なぁ、清水!」
西田が僕の肩を叩いてきた。
僕は言葉を失って話す元気もなかった。
「あら、やだー!悠真君じゃん。」
七瀬さんは口に手を当て嬉しそうに言った。
「これは何の集まり?いや、実は私達はー。」
七瀬さんがそう言いかけた時僕は七瀬さんに向こうに行くように言った。
「ちょっと話があってさ。向こう行こう。」
「仕方がないわね。」
七瀬さんはため息をついて一緒に歩き出した。