第2章 危険な香りが漂って
「それじゃあ、まずはおしぼりで手を拭こう。」
みんながぞれぞれおしぼりで手を拭いた後乾杯をした。
「今年も1年頑張ろう!そして郵便局を盛り上げよう!カンパーイ!」
局長が乾杯の合図をしてくれてみんなで紙コップに入ったお酒で乾杯した。
「ごくっ。ぷはー、いいなあ。」
満開の桜の下で飲むお酒は何故か美味しく感じる。
「ちょっと男子達、お酒ばっかり飲んでないでお弁当も食べなさいよ。」
武田部長が呆れた顔をして言った。
「はーい。」
僕ら男子達は口を揃えて返事をする。
美味しいお酒に美味しい弁当ですっかりみんな陽気になっていた。
「それでは毎年恒例のあれ行きますか?」
局長の合図とともに毎年お花見での恒例のあれが始まる。
「チキチキ~物まねショー!」
「いぇーい。」
トップバッターは後輩の木下だった。
この物まねショーでは声物まねだけでなく歌物まねや鳴き声物まねもOKなのだ。局長の趣味で毎年花見となるとこれが恒例となった。
「えっと僕は森山直太朗さんの桜を歌います。」
僕らはずっと待ってる~♪
木下のやつ中々うまいなあーと僕は思った。この恒例の物まねショーは後輩から先に行うのがルールなのである。格好つけてやるのもいいがかといって失敗したらみんなの笑いものにしかならないので注意が必要だ。
次は女子局員3人がperfumeのSpring of lifeを歌とダンスで披露してくれた。3人がそれぞれのポジションに就きダンスも完璧ですごいと思ったし、今の季節に合っていていいなと思った。
「それでは次は清水君の物まねです。どうぞ!」
局長に紹介されみんなの前に出る。毎年緊張感と恥じらいが走る。
「僕が物まねするのは声物まねです。これからさんまさんとオードリー若林さんとダウンタウンの浜田さんの笑い方をやります。」
僕は練習の成果を見せた。
「おおー!」
みんなから似てるねと言われてちょっと嬉しかったな。
そして次は武田部長の番となった。
何を披露するんだろう?僕はごくりと唾を飲み込み見守った。
武田部長は去年は恋するフォーチュンクッキーを披露していて驚いてしまったから毎年期待しているのだ。