第2章 危険な香りが漂って
そしてお花見の日がやってきた。僕が公園に着くと沢山の人々でごった返していた。昼間からお酒が飲めるので花見はいいなと思った。
「確か、局長が場所取りしてくれていたはずなんだけどどこなんだ?」
僕は周りを見ながら歩く。陽気な人々の笑い声に包まれた公園はいつになく活気づいていた。
「あれ?あの人はもしかして?」
僕が歩いていると思わぬ展開が待ち受けていた。
七瀬さんだ!何でこのタイミングでいるんだよ?鉢合わせたらまずいことになるぞ。なんだかそう思うと背筋がぞくっとした。
「おーい!ここだよ。」
すると遠くの方で局長の声がした。
「あっ、すみません。今行きます。」
僕は局長の声がする方へと走って行った。
この日の花見では局長は場所取りで西田がレジャーシートを持ってくる係。武田部長と女子局員達はお弁当を持ってくる係。そして僕は水島と木下とお酒を持ってくる係だった。
「木下は何のお酒を買って来たんだ?」
僕は到着して木下に聞いた。
「サワーと酎ハイです。女子達にも飲みやすいように買ってきました。」
「僕は焼酎と日本酒を少しかな?清水は何を買ってきたんだ?」
すると水島が僕に聞いてきた。
「僕はビールを買ってきたよ。」
「なるほどね。」
そして靴を脱いでレジャーシートの上に座り木下がお酒を注いでくれた。
「いやぁ、頼もしい後輩を持つのはいいもんですねえ。」
局長が笑って言った。
「っていうか武田部長の弁当凄いっすね。」
水島が驚いて言う。
「花見なんだからこれくらい当たり前でしょう?人数も多いし食べ盛りな男子もいるし、この量でいいじゃないの?」
武田部長が持ってきたのは三段重ねのお弁当だった。外は赤い漆塗りで中は黒く上品なお重箱だった。そこに卵焼きやアスパラのベーコン巻きなど彩りがよいものばかりが入っていた。
他の女子局員の弁当もキャラクター弁当だったりで女子力を感じるなと思ったし女子同士でいがみ合ってるみたいで何だか見ていて面白かった。